第21話:「借地が売りに出されてますよ」——管理会社からの衝撃の電話
前回の続きです。落ち着いていた底地に、ある日、管理会社から一本の電話が入りました。
「借地が売りに出されてますよ」
そう告げられた瞬間、頭が真っ白になりました。
え???
借地権者は不動産会社のはず。そして、私はこの土地の底地権者です。何の連絡もなく、勝手に売りに出されているとはどういうことか。
まずは販売資料を取り寄せた
状況を把握するため、販売資料を送ってもらいました。
確認すると、かなり高額な売値が設定されていました。
正直なところ、値段が手頃であれば、私自身が買い取ってもいいと思っていました。借地権を取得して土地を完全に自分のものにする、というのは底地権者として一つの選択肢だからです。
しかし、そのような価格ではありませんでした。明らかに「高値で売り抜ける」ことを狙った値付けでした。
そもそも、これはルール違反
ここで重要な法的事実があります。
借地権を譲渡するには、底地権者(地主)の承諾が必要です。これは民法および借地借家法で定められたルールで、無断で譲渡を進めることは契約解除事由になり得ます。
承諾なく譲渡が行われた場合、「信頼関係が破壊された」と評価されれば、契約解除→借地権の返還を求められる可能性があります(個別の判断は裁判所が行います)。
なお、地主が正当な理由なく承諾しない場合、借地権者は「借地非訟」という裁判手続きで、裁判所の許可を得て譲渡することが可能です。今回のように事前の手続きを一切踏まずに販売活動を行うのは、このルールから外れた行為と言えます。
悪質だったのは「相手がプロ」だったこと
今回の件で何より問題だったのは、借地権者が不動産会社(プロ)だったということです。
不動産会社が、借地のルールを知らないはずがありません。それにもかかわらず、底地権者である私(素人)に何の連絡もせず、無断で売りに出していました。
プロが素人の無知につけ込んで売り抜けようとしている。
管理会社の方も「こいつ舐めてますよ」と怒り心頭でした。
即座にとった対応
私はすぐに行動を起こしました。
- 借地権者の不動産会社に電話
- 販売行為を直ちに中止するよう要求
- 内容証明郵便の送付
- 同じ内容を書面でも正式に通知
- 「無断で販売した事実」と「直ちに中止すること」を明記
内容証明は、後日「言った/言わない」のトラブルを防ぐための有効な手段です。送った日付・内容・相手に届いたことが郵便局の記録として残ります。
まとめ|底地権者として知っておくべきこと
今回の件で改めて感じたのは、以下の3点です。
- 借地権の譲渡には底地権者の承諾が必要
- 無断譲渡は信頼関係破壊として借地権返還の根拠になり得る
- 相手がプロでも油断せず、即座に対応する
底地は「黙っていれば地代が入ってくる」資産ではなく、こうした事件に直面することもあります。普段から信頼できる管理会社と関係を築いておくことが、こういう時の最大の武器になります。
この話はまだ続きがあります。
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